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「視界不良」の中を歩むことは…

 飛行機の飛び方には、「有視界飛行」と「計器飛行」があります。前者は、飛行の基本とされ、主にパイロットが視認できる外界の飛行環境(地面、雲、地平線など)の目視情報に基づいて、パイロットの自己判断で飛行します。後者の場合、パイロットは一切の外界の視覚情報に頼らず、航空機上の計器のみに依存して飛行します。  有視界飛行には、パイロットの目視に頼って飛行するため,十分な視界が確保される気象状態が原則ですが、雲中や暗夜など視界が不良の飛行環境では、計器飛行なしには飛べません。ただ、視界の良し悪しとは別に、パイロットは飛行中に、飛行環境の要素に突如の変化の影響によって、「空間識失調」という平衝感覚を失う状態に陥る場合があります。それに、健康体であるかどうかに関わりなく発生します。  空間識失調に陥ったパイロットは、機体の姿勢(傾き)や進行方向(昇降)の状態を把握することができなくなったり、自身に対して地面が上なのか下なのか、機体が上昇しているのか下降しているのかを分からなくなったりして、「自分の身体の感覚と計器が表示している情報はどちらが正しいのか」という葛藤が生じてしまいます。  そのような状態では、パイロットが冷静に計器飛行で対応することが求められます。そのため、計器飛行はパイロットにとってとても重要な技能の1つであり、一定の訓練および審査を経て取得できる必要な「計器飛行証明」資格です。  「空間識失調時は計器だけを信じなさい」とパイロットたちが教わっています。すべての視覚的基準を失って安全に飛行する唯一の方法は、飛行機の計器から目を離さないことです。なぜなら自分の感覚は自分に嘘をつくからです。経験豊富なパイロットの多くは、「計器飛行証明」資格を取得する上で最も難しいのは「計器を完全に疑うことなく信じるようになることだ」と言います。すべての感覚は、飛行機が旋回していることを示しているのに、計器は旋回していないことを示しているとき、感覚を無視して計器に完全な自信を持てるかどうかが肝心です。  これは、私たちの日々の生活にも当てはまるのではないかと思います。キリスト者としての生活は、私たちが今いるところから、主が私たちに(霊的にも身体的にも)望んでおられる所への、日々の歩みから成り立っていると思います。そして、この過程は目で見るのではなく信仰によって行われます。聖パウロの教え